ここ最近はスイスフラン(CHF)が世界的に高騰していて、お客様から2年前まで25万で買えたのになんで2年でここまで価格が上がるんですか?という問い合わせが本当に増えてます。
一見すると為替の話に聞こえますが、実はスイス時計業界にとって“かなり深刻な問題”になっています。この記事では、フラン高が時計産業にどんな影響を与えているのか、シンプルに解説します。
■ 1. フラン高=海外で時計が「割高」に見える
スイスの時計メーカーにとって、売上の多くは海外です。
ところがフランが高くなると、同じ時計でも海外価格が相対的に上がってしまうため、消費者からすると「高いな…」と感じやすくなります。これは、ブランド力のあるメーカーでも避けられない問題です。

■ 2. 実際に「輸出が減少」
2024〜2025年にかけて、スイス時計の輸出は前年割れが続いています。
-
ある月は 前年比16%減
-
アメリカ・中国・日本など、主要マーケットのほとんどで需要が減少
世界の高級品市場が冷え込んでいる中、フラン高がその追い打ちになっています。
■ 3. 価格転嫁も難しく、ブランドが悩むポイント
フラン高でコストが上がるため、メーカーは価格改定を行うことが多いです。
ただし、値上げするとその分さらに売れ行きが弱くなるというジレンマがあります。
中堅ブランドほど影響が大きく、戦略の見直しを迫られています。
■ 4. 業界が取り始めている対策
最近よく見られる動きは次のとおり。
-
価格の再調整(小幅な値上げ)
-
中価格帯モデルの強化
-
実店舗での販売強化(オンラインより信頼性重視)
ブランドごとに方向性が分かれてきており、環境変化への対応が今後の生き残りを左右しそうです。
■ 5. 中長期での課題は「構造的な為替リスク」
スイス時計産業は、長年「フラン高」という宿命的なリスクと付き合ってきました。
今後も為替が強い状態が続けば、
-
価格競争力の低下
-
新興メーカーへの顧客流出
-
マーケットの地域バランスの崩れ
といった課題がさらに浮き彫りになる可能性があります。
■ まとめ:フラン高は“時計業界にとっての逆風”
スイスフラン高騰は、ただの為替ニュースではなく、
**「価格 → 需要 → 輸出」**という連鎖で時計業界に確実な影響を与えています。ここまで価格が上がってしまうと今までは少し無理をして自分へのご褒美として特別な時に頑張って購入していた方も手が出し辛い状況になっているのが現状です。
とはいえ、ブランド力の強いメーカーは依然として安定していますし、
業界全体がこの環境に対応しながら次の戦略を模索している段階です。為替の問題はメーカーも販売している側もどうにもできない事なので購入される方に少しでもこの状況を理解していだだけると有り難いです。