2月下旬からからウクライナを取り巻く状況が一変しており、日本から遠く離れてはいるものの、日常生活においても日に日にその影響が日本にも出始めているのではないかと思います。多数の犠牲者が出ている中で、軍事行動の早期終息を願っております。
現状の時計市場について
コロナウイルスのパンデミックにより、全世界規模で物流の遅延・停滞などが発生し、また各メーカーも感染拡大の影響で工場のストップや人員調整などで生産量も減少。世界的に流通量が減ったことで、需要と供給のバランスが崩れ、一部の人気ブランドのモデルはは価格高騰を起こし、とんでもない市場価格になっております。今月に入り、ロレックスの価格相場も下落傾向にあり、現在では落ち着きを取り戻した状態と思われます。
しかし、ここへ新たにウクライナ危機やロシアへの経済制裁包などの要因が加わる形になり、今後の市場への影響が気になります。既にロレックスや、スウォッチグループ、LVMHもロシアへの製品出荷を停止し、また各ブランドも、ロシア国内の店舗閉鎖が始まっております。これにより、ロシアにおける時計ビジネスは混乱が続くと思われます。
影響① エネルギー価格の高騰による影響
原油高騰による輸送費コストの上昇。原油をはじめとするロシア産エネルギーの供給リスクが高まり、それによる燃料費の高騰が、経済界にも大きな衝撃を与えてます。
日本での展開のある時計ブランドは8割が海外ブランドで海外からの輸入も多く、供給ルートの変更、代替エネルギーへの切り替えなどが影響し、商品の入荷が非常に難しい状況が続くと思われます。その影響で物価が更に高騰するのではないかと思われます。
影響② 鉱物資源の高騰による影響
ニュースでも取り上げられてますが、パラジウムやニッケルはロシア産のシェアが高く、今回の各国制裁が影響し、鉱物資源の供給が減っていくことで、既に市場価格に影響を及ぼしております。
腕時計に使用されるステンレス、ゴールド、プラチナ、などの素材は価格に影響が出てくると思われます。パラジウムの高騰が激しいこともあり、パラジウムを含有するホワイトゴールド、プラチナを使用しているモデルは今後リテールプライスの見直しがあるのではないかと思われます。
またステンレスには欠かせない素材の一つがニッケルでステンレスのグレードによって含有量は異なりますが、ロレックスなどの一部ブランドが使用するスーパーステンレス(904L鋼)は、 ニッケル含有量は23~28% (他の高級時計使用の316L鋼では 12~15%) と高く、その分コスト増となります。
ステンレスは時計だけでなく、日用品まで幅広く使用されているため、今後はかなりの影響を受けることでしょう。
影響③ インフレ懸念
エネルギーの高騰からインフレ傾向が更に進み、各国の企業への負担が増大していくことになれば、エネルギーだけでなく、資材や人件費のコストも上がり、腕時計においても定価改定が相次ぎ、この一年で何回もの改定が行われる可能性もあります。
このまま紛争が続けば、現在は落ち着いてる市場も価格高騰の可能性も十分に考えられます。
影響④ ルーブル安の影響
ロシアの通貨であるルーブルの価値が大暴落した事より、ロシアの富裕層による高級時計の買い占めをしているというニュースもあります。価値の残る現物資産として高級時計やハイジュエリーなどを確保している様です。
暴落し価値がなくなるルーブルを、持ち運びやすく換金性の高い現物資産である高級時計やハイジュエリーに換え、自分の財産を守ろうとしているのです。
またロシアだけでなく、為替の影響が大きい国々でも同様の動きがあるかもしれません。
上記のような要因から、今後ますます流通量が減るとともに、素材価格の高騰となり、高級時計特に一部人気モデルはますます入手が難しく、中古品も含めて時計相場が大きく上昇する可能性が考えられます。
一方、景気が減速しつつも物価が上昇するスタグフレーションの懸念もあります。
スタグフレーションとなれば、お金の価値が下がるため、預貯金では資産が減っていくことになります。対策として、株式や不動産、金などの現物物資の確保が重要となるため、現在資産の一つとして認知されてきた高級腕時計に関しては、更なる価格上昇が考えられます
いずれにせよ相場が上昇する要因が多いことがわかります。欲しい時計があれば、もしかすると今が購入のタイミングなのかもしれませんね。